竹原簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人を懲役十月及び罰金壱千円に処する。
右罰金を完納することが出来ないときは金壱百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となる事実)
被告人は昭和二十七年八月五日豊田郡東野村鮴崎港に碇泊中の松鷹丸に於て福永正一から賍物である事の情を知りながら鉄屑四百十貫位を代金三万円で買受け以て故買し
たものである。
(証拠の標目)(省略)
尚被告人は昭和二十三年五月十四日広島地方裁判所竹原支部に於て賍物故買罪により懲役一年(未決勾留日数三十日通算)及び罰金三千円に処せられ当時刑の執行を受け終つたものであることは被告人の当公廷に於けるその旨の供述及び検察事務官倉谷友三作成の前科調書の記載に徴し之を認める。
弁護人は、被告人は賍物たるの情を知らずして買受けたものであるから無罪である、仮に然らずとするも本件金属屑陸揚げにつき既に関税法違反の通告処分を受け罰金相当額を納付済である、本件と一所為数法の関係にある右関税法違反事件により処罰済である以上本件公訴は一事不再理の原則に反するものである旨主張するが
前記各証拠を綜合すれば被告人は賍物授受の際その賍物たるの情を知つて居たものであることを認めることが出来るし本件犯罪と右関税法違反罪とは一個の行為にして数個の罪名に触れる場合には該らぬから右主張は肯認できない。
(適用法令)
刑法第二百五十六条第二項第五十六条第五十七条第十八条罰金等臨時措置法第三条第二条刑事訴訟法第百八十一条第一項
(昭和二八年三月三日竹原簡易裁判所)